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穴窯の灰被り/獅子像の焼成/やまざ器
2023/04/18
穴窯の灰被りのお話です。 焼成したのは、獅子像で・・・過去に何度も作成している作品ですが・・・懲りずに続けています。 今回は、穴窯の薪を投入する燃焼室の周りに作品を置く「灰被り」について書いてみます。
穴窯の魅力の一つは・・・間違いなく「灰被り」の作品作りです。 穴窯の本焼き(赤松の薪で温度を上げていく焼成)は、2日間から4日間ほどになるので、薪の炎が飛ばす灰が作品に降り掛かります。
温度が低い状態(500℃以下)では、黒いススのような状態で作品に付着していきますが・・・温度が上がるにつれて(1000℃前後)、作品の凹凸部分や、引っかかりのある部分に灰が溜まってきます。 さらに温度の高い領域(1150℃から1200℃あたり)では、その灰が作品の粘土質の成分と化学反応し、ガラス状の液体に変化していきます。 これが自然釉で・・・「灰被り」の作品を作る源になります。
燃料室の煙突側に向かった正面やその横部分は、燃焼時、常に降灰が期待できるので・・・灰を積んでは溶かし、積んでは溶かすことを繰り返していくことで灰被り作品が出来上がります。 最終的には、温度を1250℃を超えるところまで上げて、十分に灰を溶かしてから窯を閉じることになります。 また薪のオキが積み重なった結果、作品に覆いかぶさってきますので・・・その部分は「焦げ」として独特の風合いが出てきます(獅子の顔の下部分や前足部分)。
ご一緒に、穴窯焼成を楽しんでいきましょう。 ありがとうございました。
滋賀県甲賀市信楽町はふり窯