【ワインカップに藁を巻く】緋襷焼成
緋襷(ひだすき)の模様の入ったワインカップを製作中です。緋襷は、藁(ワラ)を巻いて焼成することにより、器に茶褐色のライン状の模様を入れる技法です。今回の投稿は、藁をワインカップに巻きつけていく様子を分かりやすく説明していきます。
使用する藁は、ホームセンターの園芸コーナーなどで普通に購入できる稲藁を使っています。
ただ通常ですと、藁は乾燥した状態でパックなどに入れられて売られているので、そのままでは器に巻きつけることは「相当に困難です」。
そこで、ボールとか洗面器などに水を入れ、その中に浸しながら丁寧に揉みほぐしていくのです。
この水に入れて揉みほぐす作業が無事に終われば、あとは藁の太さや強度的にしっかりした藁を選定していくだけなので、後の作業は格段に楽になります。
写真のワインカップは、藁を何本か巻きつけた状態です。水で揉みほぐした藁は、柔軟になり、途中で切れづらくなっているので、藁のエンドの処理や、藁同士を縛って固定することができるようになります。
この後、藁の本数を増やしていきますが、藁は器に密着した部分だけが発色しますので、ある程度狙いを定めて巻きつけると良いと思います。模様が綺麗に出ると、すごく上品な器に変身しますので。
繰り返しますが、重要なポイントは「藁を水でよく揉みほぐして、良い藁だけを選定する」ことです。
そうすれば、器に巻きつける作業は簡単ですし、楽しめる時間になること請け合いです。
今回の焼成は、一般的な電気窯による酸化焼成を前提にしています。
ただしその時に鞘(さや)に入れて焼成するとかなり楽になります。
なぜかと言うと、器に巻き付けた藁以外に、台座の下や、台座周りにも色合いをつけたいので、フワフワにした藁を置くことになりますが、鞘に入れておくと藁を押し込めるので作業がしやすくなりますね。
また藁も窯内で飛散しなくなるので、他の酸化焼成の器と同時に焼くこともできるからです。
今回、ワインカップの土は、市販品の「備前火襷用」を使っていますが、火襷そのものは通常の白い土であれば火襷の模様は焼成できます。極端に言うと道具土でも緋襷は焼けますね。
ただ、備前の土は収縮率が高く、良く焼き締まるので器として使う場合、「水漏れ」の心配がないので大変重宝しています。
ご興味のある方は、お試しくださいませ。