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電気窯での緋色の発生について条件などを推測/さいたま市やまざ器

2020/09/02
電気窯での緋色について

8月は、陶芸体験の話題が多かったので・・・本日は趣向を変えて、電気窯での緋色の発生について記述していきます。 そもそも緋色(ひいろ)って何ですか? から始まりますが・・・焼き物を焼成するときに、偶発的に発生するオレンジ掛かった赤みのある焼き色の事です。 ひと頃、朝ドラで有名になった「スカーレット」も同じ意味合いで、明るい黄色からオレンジ、赤などの混じった炎の色を連想していただければ良いような気がします。

 

元々は、薪で焚く穴窯などの焼き締め(釉薬を付けない焼き物)の際に、薪の灰が溶けてガラス状(ビードロ)になり、その条件の良い場所に発生する特別な色合いのような印象がありましたが、実は、身近な電気窯の焼成でも緋色の発生はあるのですね。 写真の陶器は、信楽の白土(古信楽土荒目)に土灰釉をかけて還元焼成したものですが、釉と釉の間、厳密に言うと釉と無釉の部分の際に、緋色が発生しています。

 

緋色の発生は、粘土素地の鉄分量に大きく左右されます。 鉄分量の多い赤土などでは、あまり緋色が注目されることはありません。 綺麗な明るい緋色を期待する場合は、微量の鉄分を含む白土が合っています。 また焼成条件は、酸化焼成でも還元焼成でも発生します。 経験的には、緋色の発生は、温度が上昇する過程で出来るのではなく・・・冷却時の比較的温度の低い環境で発生していると考えます。 ですので、酸化炎でも還元炎でも関係なく発生します。 

 

この推測を裏付ける簡単な実験があります。 緋色の出ている器を素焼き程度の低温(800℃前後)で再焼成する方法です。 すると緋色の色がよりハッキリと明確に焼成されることで納得できます。 1200℃程度の釉が溶ける温度上昇過程で、緋色が作られるのなら、釉の際にだけ正確に緋色が発生するのを説明するには無理が生じます。 酸化でも還元でも釉が溶けて安定した冷却時の800℃前後で緋色が生成されると考えた方が納得できそうですね。

 

また写真のように、釉の際にしか発生しませんので、微量の鉄分とガラス成分、酸素の化学反応で発生するとも推測できます。 釉をベタ塗りした部分や無釉の部分には発生しません。 こんなことから穴窯での焼き締めで、わずかなガラス質が形成される部分に綺麗な緋色が生成されるのだと思います。