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手捏ね(てづくね)の茶碗作り

2019/07/06
手捏ねの茶碗作り

陶芸で粘土を成形するやり方で「手捏ね(てづくね)」という方法があります。 粘土を平板の上で円盤状(パンケーキ状)に伸ばし、そこから円周部を持ち上げるようにして茶碗形状に仕上げる手法です。陶芸教室などの手作り成形で使われる「玉作り」とは逆のパターンになっていて、粘土の玉に穴を開けて広げて行くのではなく、周りから手の平で抱え込むように作る方法です。

 

「手捏ね」は、京都の楽家が楽焼を作る際に400年以上もの間、伝え残してきた由緒ある成形方法です。

楽家は、桃山時代の初代「長次郎」から始まり・・・令和現在の当代まで、この「手捏ね」による成形で茶碗の形を作ってきたのだと思います。

こんな風に書くと、難しい方法のように思えるかもしれませんが、実にやり方は簡単なので、さいたま市の「やまざ器」でも、ことあるたびに使わせてもらっています。

 

特徴は何と言ってもロクロは使いませんので、手の平の形や指跡が直接「器の形」に反映されるところです。

抹茶を飲む茶碗の形は、両手で抱えた時にちょうど抱えやすい大きさになっていますが、正に「手捏ね」による成形で出来上がった大きさに収まります。 そして何とも温かみのある形をしていて、手の平にピタリと収まるのですね。

2番目の特徴は、「削り」による成形です。ロクロ挽きの場合は、ロクロを挽く時に肉厚を調整しながら形状を作って行きますが・・・「手捏ね」では、器の厚さを厚めに取り、ヘラによる削りで形を仕上げて行きます。 楽家の代々でも、ヘラ削りの得意な代があって、彫刻家のようなヘラ裁きで茶碗を作ったりしています。

 

写真の茶碗は、口径が少し小さめで完成時に外形105mm位になるように成形しています。「手捏ね」の開始時に800gの粘土の円盤でスタートし、外周を持ち上げて胴や口縁を徐々に作り上げて行った茶碗です。

茶碗の周りは、手の平で包み込みながら部分的に指で押さえ込み、緩やかな凸凹を作りました。

見込み(茶碗内部)は、ヘラによる総削りで、外周の形状に合わせて粘土を削ぎ取って行きます。

800gで始めた成形ですが、削りが終わると350g以下になっていたので・・・ほとんどの粘土部分は、削ぎ落とされてしまっています。

 

「手捏ね」により成形(削りを含む)は、1点1点に作者の意志が入り込みますので、「焼成」の時も1点1点、小さな窯で丁寧に焼いていくことになります。

楽焼は、どの工程も全て一人で行うので・・・何とも理に叶ったストーリーですね。

ではではご確認ありがとうございました。