BLOG
星空のような景色の茶碗
2019/08/09
最近は、夜が暑くてたまりませんね(泣)。 そこで少しでも涼しげな雰囲気のあるお茶碗のご紹介です。 見込み(お茶碗の内側部分)に満天の星空が写っているようなお茶碗です。 陶芸的には、「油滴天目茶碗」と総じて言っておりますが、水に油を垂らしたような文様が広がっている黒釉ベースの茶碗をさしています。 「天目」と言うのは、茶碗形状の話で昔中国から伝わった時の呼び名が残っていて、テーパー型の外開きの茶碗を「天目型」などと言うのです。
以下は専門的な内容になってしまいますが・・・
写真のような油滴の文様は、釉薬が窯の中で溶ける時の化学反応として生じるものです。
身近で直接釉薬の溶ける様子を見ることができる「楽焼」では、釉薬の溶ける温度で器の状態を直接目視できるのですが・・・その様子から推察すると、部分的に溶け出した釉薬は、ブツブツと粒状に溶けていき、その際に酸素のやり取りが生じます。
「やまざ器」の油滴天目は、酸化焼成で最高温度に達した電気窯を、冷却時に還元状態にする「冷却還元」で油滴の文様を焼成しています。「楽焼」と違って電気窯の焼成では、釉薬の溶ける状態を目視することは現実的ではありませんから、あくまで推測ですが、めくれたり、縮れたりしてブツブツと溶け始めた釉薬が、表面張力で丸くなり、酸素を奪われて冷却されていく過程で固まり、油滴の文様が形成されると推測しています。
ですので実際には、窯の中で相当ドラマチックな状況が起きているのでしょうね?
真夏の暑い時期を迎えましたが・・・少しだけ涼しげな「油滴天目茶碗」の投稿になりました。
ご興味のあるかたは、遠慮なくお問い合わせくださいませ。