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電気窯の焼成温度設定/自由プログラム/さいたま市の陶芸・陶芸教室やまざ器

2020/01/07
電気窯の焼成温度設定

陶芸窯の中でも一般的な電気窯の焼成温度設定について考察してみたいと思います。 ご存知にように、電気窯は灯油やガスを使って直接炎を燃やす代わりに・・・電熱線の放射熱による昇温効果を使って焼き物を焼成する窯であります。 窯のスイッチを押せば・・・設定したプログラム通りに焼成が完了するオートマチックな窯でもあります。本日の投稿は・・・内容的に少しマニアックな内容になりますが・・・電気窯の利点をうまく使った焼成をご紹介いたします。

 

通常電気窯は、購入時に基本設定されたプログラムが数点入っています。 素焼きとか、本焼きの代表的な焼成パターンがインプットされております。 通常の使い勝手では、これらのプログラムを使うことで、ベストな焼成結果が期待できる内容です。

 

しかしながら・・・うまく焼成できることの反面、個性ある焼き方や、粘土材料や釉薬の特性に合わせた焼成を考えると・・・少し不十分な場面が出てくるのも事実ですね。

そこで、電気窯に付いている「自由プログラム」の機能を使うことになります。

自由プログラムは、文字通り好みの温度、時間軸を自由に設定できることが利点です。

 

例えば、ゆっくりと昇温させたい場合や、逆にゆっくりと冷ましたい場合などに効果を発揮いたします。 特に、昇温時はごく普通に昇温カーブを意識してプログラミングしますが・・・冷却時に温度設定をかけて、窯を冷ましていくやり方は・・・あまり目にしませんね。 ところが、この冷却時の温度低下カーブを極めて正確に実行できるのが電気窯であります。

 

一般的に窯は、高級な窯になるほど、断熱レンガの壁厚が厚くなります。 要するにゆっくりと冷やすことができるようになる訳ですね。 焼き物は、焼成温度がピークをすぎて冷めていく間に、様々な変化を生じます。 ですのでこの冷却期間にプログラミングによる温度低下カーブを設定してあげると・・・レンガの肉厚の薄い窯でも・・・ゆっくりと冷やすことができるようになります。

 

写真は、「油滴天目茶碗」の焼成時の一コマです。

冷却時の温度設定を行うことで・・・極めて安定して油滴天目模様を焼成することができます。 直接火を焚く窯では、冷却時の降温カーブは窯の持つ熱容量によって決まってしまいます。 唯一電気窯は、この冷却カーブをコントロールできる窯だと思いますね。

 

皆様 ご一緒に陶芸を楽しんでいきましょう。

さいたま市の陶芸・陶芸教室「やまざ器」です。